未経験の業界へ転職

未経験でブランディング業界へ転職する際の難易度は?

最終更新日:2025年5月30日

目次

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  • ブランディング業界とは?
    • ブランディング業界の具体的な仕事内容
    • ブランディング業界の現状と市場動向
  • 未経験でブランディング業界への転職は難しい?
    • 未経験からブランディング業界への転職が難しいと言われる理由
    • 未経験者でもデジタル広告業界への転職は不可能ではない
  • ブランディング業界で求められるスキルと適性
    • 基本的な知識とスキル
    • 職種別の専門スキル
    • ブランディング業界に求められる適性
  • 未経験からブランディング業界へ転職するための学習ステップ
    • ステップ1. 業界と職種の理解を深める
    • 2. ブランディングの基礎知識を習得する
    • 3. 専門スキルを習得する
    • 4. ポートフォリオを作成する
    • 5. 実践経験を積む
    • 6. 転職エージェントを活用して転職する
  • 未経験からブランディング業界へ転職成功事例
    • 事例1:営業職からブランドストラテジストへ転職
    • 事例2:ライターからブランドコピーライターへ転職
    • 事例3:グラフィックデザイナーからブランドデザイナーへ転職
    • 事例4:アパレル販売員からブランドマネージャーへ転職
    • 転職成功のポイント
  • ブランディング業界への未経験転職は難しく準備と戦略が不可欠

ビジネスの世界では、企業がもつ「ブランド」の重要性がかつてないほど高まってきています。強いブランドを持つ企業は、消費者との感情的なつながりを築き、競争優位性を確立することができます。これによりブランディングを専門とするブランディング業界も拡大し続けており、近年注目を集めています。

そんな注目のブランディング業界に、「クリエイティブな仕事がしたい」「企業の成長に貢献したい」という思いから、未経験でも転職を検討する方が増えています。この記事では、未経験者がブランディング業界へ転職する際の難易度や必要なスキル、効果的なアプローチについて解説します。

ブランディング業界とは?

ブランディング業界への未経験転職についてご紹介する前に、ブランディング業界がどんなもので、業界全体の現状はどうなっているのかを確認していきましょう。

ブランディング業界の具体的な仕事内容

ブランディング業界の仕事内容は主に、企業のブランドを創造、育成、管理することです。具体的には担当する企業などの「理念・価値観」を社会に伝えるための戦略を立案・実行し、ロゴやコピーも作成します。

ブランディング業界の中で活躍する職種は多岐にわたっており、例をあげると下記のようなものがあります。

職種具体的な仕事内容
ブランドストラテジスト市場調査に基づき、ブランド戦略、コンセプト、表現を策定
ブランドデザイナー戦略やコンセプトをロゴ、VI、ウェブサイト、広告、パッケージなどで視覚的に表現
ブランドコピーライターブランドメッセージ、広告コピー、コンテンツを作成し、ブランドの魅力を言葉で引き出す
ブランドマネージャーブランド戦略を実行・管理し、効果測定に基づき改善・広告・広報活動を統括

ブランディング業界は多様な専門家が連携する分野であり、マーケティング、デザイン、文章作成、コミュニケーション能力など様々なスキルが求められる高度な仕事といえるでしょう。

ブランディング業界の現状と市場動向

ブランディング業界は近年、大きな変化を遂げています。デジタル化の進展により、従来の広告代理店やデザイン会社だけでなく、ブランドコンサルティング会社やデジタルエージェンシーなど、様々な企業がブランディングサービスを提供するようになりました。

市場規模も拡大傾向にあり、特に企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に伴う、デジタルブランディングの重要性が高まっています。デジタルで企業ブランドを広げるデジタルブランディングは急速に拡大しており、日本国内においても継続的な成長を見せていることは頭に入れておきましょう。

株式会社電通の調査によれば、2024年の日本のインターネット広告費は3兆6,517億円(前年比109.6%)となり、日本の広告費全体を占める割合も年々増加しています。企業が「何者であるか」を明確に定義し、それを一貫して表現することの重要性が認識され、戦略的なブランディングへの投資が増加しています。

特に注目すべき市場動向としては以下が挙げられます。

  1. パーパスドリブンブランディングの台頭:企業の存在意義や社会的価値を中心に据えたブランディング
  2. デジタルブランドエクスペリエンスの重要性:オンライン上での一貫したブランド体験の設計
  3. データドリブンアプローチ:消費者インサイトの抽出やブランドパフォーマンスの測定にデータ分析を用いる傾向
  4. インターナルブランディングの広がり:従業員のブランド理解や体現を促進する内部向けブランディングの需要

このような変化に伴い、ブランディング業界では多様なスキルセットを持つ人材が求められるようになっています。

参考:電通ウェブサイト「調査レポート2024年 日本の広告費」

未経験でブランディング業界への転職は難しい?

結論からお伝えすると、未経験からブランディング業界への転職はかなり難しいと言えるでしょう。未経験からの挑戦は完全に門戸が閉ざされているわけではありませんが、一定の程度の努力と準備は必ず必要です。

未経験からブランディング業界への転職が難しいと言われる理由

ブランディング業界への未経験転職が難しいと言われる大きな理由のひとつが、求められるスキルや技術の専門性の高さにあります。ブランディング業界では、マーケティング、心理学、デザイン、コミュニケーション、経営戦略など様々なスキルが必要とされ、そのどのスキルも簡単には身に着けることが難しいものばかりです。

ブランディング業界を含むクリエイティブ系の仕事では、実績やポートフォリオが重視される傾向があり、実績や経験のない未経験者はすぐに採用されない現実があります。実際、大手ブランディングエージェンシーやコンサルティングファームでは、未経験者向けのエントリーポジションが限られており、そもそも未経験では求人に応募できないなどの場合もあります。これらのことが、ブランディング業界は未経験からの転職が難しいといわれている理由です。

未経験者でもデジタル広告業界への転職は不可能ではない

これまで転職が難しいと言われる理由を解説しましたが、未経験からのブランディング業界への転職は「難しい」だけであって不可能ではありません。以下の4つの理由から未経験者でもブランディング業界への転職は可能であるといえます。

  1. 多様な職種:ブランディング業界には、ブランドストラテジスト、デザイナー、コピーライター、リサーチャー、プロジェクトマネージャーなど様々な職種があり、前職のスキルを活かせる可能性があります。
  2. 異業種の知見の価値:特定業界での経験やユーザー視点は、ブランディングにおいて貴重なインサイトになり得ます。
  3. 中小企業やスタートアップの需要:大手だけでなく、中小規模のデザイン事務所やブランディングエージェンシー、スタートアップ企業では、ポテンシャル採用も行われています。
  4. フリーランスという選択肢:フリーランスや副業から始め、実績を積んでから正社員を目指すという段階的なアプローチも可能です。

ブランディング業界への転職難易度は、目指す職種や企業規模、自身のバックグラウンドによっても大きく異なります。自分の強みを活かせる領域を見極めることが重要です。

ブランディング業界で求められるスキルと適性

ここからはブランディング業界で求められる主なスキルと適性をご説明します。これらすべてを最初から持っている必要はありませんが、いくつかの強みを持ち、他の領域も学ぶ意欲があることが重要です。

基本的な知識とスキル

  • マーケティングの基礎知識: 市場分析、ターゲティング、ポジショニングなどの基本概念の理解
  • 消費者心理の理解: 顧客の感情や行動原理に関する洞察力
  • コミュニケーション能力: 複雑な概念を分かりやすく伝える能力
  • リサーチスキル: 定性・定量調査の基本と、インサイト抽出の方法
  • プレゼンテーション能力: 提案内容を説得力を持って伝えるスキル

ブランディング業界で求められるマーケティングの基礎知識を身に着けるために、広告・マーケティング業界で実際に働いてみることは、ブランディング業界に未経験で転職する際の大きな助けになります。広告・マーケティング業界の未経験転職の難易度について詳しく解説しているのでぜひ、参考にしてください。

関連記事:未経験で広告・マーケティング業界へ転職する際の難易度は?

職種別の専門スキル

ブランドストラテジストの専門スキル

  • 戦略的思考力
  • ビジネス分析能力
  • ブランドポジショニングの設計力

ブランドデザイナーの専門スキル

  • デザインセンス
  • Adobe Creative Suiteなどのデザインツールの使用スキル
  • ビジュアルアイデンティティの設計能力

ブランドコピーライターの専門スキル

  • 言語センスと表現力
  • ブランドの世界観を言葉で表現する能力
  • 一貫したトーン&ボイスの維持能力

ブランドマネージャーの専門スキル

  • プロジェクト管理能力
  • 社内外の関係者を巻き込む力
  • 予算管理と成果測定の能力

ブランディング業界に求められる適性

  • クリエイティブ思考: 常識にとらわれない発想ができること
  • 分析的思考: データや情報から本質を見抜く力
  • 共感力: 多様なステークホルダーの立場や感情を理解する能力
  • 曖昧さへの耐性: 明確な答えがない問題に取り組める精神力
  • 詳細への配慮: 小さな要素まで一貫性を保つ緻密さ
  • 学習意欲: 常に新しい知識やスキルを吸収する姿勢

特に未経験者の場合、すべてのスキルを持っている必要はありませんが、いくつかの強みと、不足しているスキルを学ぶ意欲を示すことが重要です。また、どの職種を目指すかによって、重点的に身につけるべきスキルも変わってきます。

未経験からブランディング業界へ転職するための学習ステップ

未経験からブランディング業界へ転職を目指す場合、以下のステップで学習を進めることが有効です。

ステップ1. 業界と職種の理解を深める

  • ブランディング業界の全体像: ブランディング業界の構造、主なプレイヤー(広告代理店、デザイン会社、コンサルティングファームなど)、業界の最新トレンドを把握します。
  • 職種ごとの役割: ブランドストラテジスト、デザイナー、コピーライター、マネージャーなど、各職種の具体的な仕事内容、必要なスキル、キャリアパスを調査します。
  • 自分の興味と適性: どの職種に最も興味があり、自分のスキルや経験を活かせるかを検討します。

2. ブランディングの基礎知識を習得する

  • マーケティングの基礎: マーケティングの基本概念(市場分析、ターゲティング、ポジショニングなど)を学びます。書籍やオンラインコースを活用しましょう。
  • 消費者心理: 消費者の行動原理、感情、購買決定プロセスに関する知識を深めます。心理学の入門書なども参考になります。
  • ブランディング関連書籍: ブランディングの理論、事例、戦略について書かれた書籍を読みます。
  • ウェブサイトやブログ: ブランディングに関する情報発信をしているウェブサイトやブログを定期的にチェックします。

3. 専門スキルを習得する

以下に記載するような専門スキルを持っていると選考通過率もあがっていきます。副業や無償で案件を受けて取り組んでみることも専門スキルをつけるひとつの方法です。

スキル学習方法
デザインスキルデザインツール(Adobe Creative Suiteなど)の操作を学ぶ、オンライン講座を受講する、ポートフォリオを作成する
コピーライティングスキルコピーライティングの講座を受講する、様々な広告やコピーを分析する、実際に文章を書く練習をする
戦略的思考力、分析力ビジネスケースの分析、市場調査の演習、戦略立案のワークショップに参加する
プロジェクトマネジメント能力プロジェクトマネジメントに関する資格取得を目指す、プロジェクト運営を疑似体験できるオンラインツールを活用する

4. ポートフォリオを作成する

  • 自主制作: 実際の企業や商品などを題材にして、架空のブランド戦略、デザイン、コピーを作成します。
  • 過去の作品: 過去の仕事や活動で制作したもので、ブランディングに関連するものがあれば含めます。
  • オンラインポートフォリオ: ウェブサイトやSNSなどで、自分の作品を公開します。

5. 実践経験を積む

  • インターンシップ: ブランディング関連企業でインターンシップを経験する。
  • 副業・フリーランス: 副業やフリーランスとして、ブランディングに関する仕事を受注する。
  • ボランティア: NPOや地域活動などで、ブランディングのボランティアを行う。

6. 転職エージェントを活用して転職する

ブランディング業界に限らず未経験の業界に転職する場合、「転職エージェント」を上手く活用することで数段、難易度が下がる場合もあります。

多くの転職エージェントは無料で利用することができ、自分に合った求人の紹介から履歴書の添削・面接対策・推薦による後押しなど様々なサービスを受けることができます。求人が多すぎて何をどういう基準で選べばいいかわからない、何回挑戦しても書類選考さえ通過しない、面接が苦手…そんな方はぜひエージェントを利用してみましょう。

転職エージェントは無料でサービスを受けられますし、ブランディング業界以外にも興味があるのなら同時に別業界の求人を紹介して貰える場合もあります。また、あなたの経験や価値観に基づいた適職の提案や転職成功までのアドバイスで転職成功率を格段に上げることができます。

ブランディング業界に未経験で転職を希望する際には、転職エージェントを最大限活用してみましょう。未経験からの転職が不安な方は未経験業界や未経験職種への転職支援を得意とするBOLELOエージェントへの相談がおすすめです。

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未経験からブランディング業界へ転職成功事例

未経験からブランディング業界への転職は困難とされていますが、実際に成功した事例は存在します。以下に具体的な事例を紹介します。

事例1:営業職からブランドストラテジストへ転職

  • 前職: 5年間、IT企業で法人営業を担当。
  • 転職理由: クライアント企業のブランド戦略に興味を持ち、よりクリエイティブな仕事に挑戦したいと考えたため。
  • 転職活動: 営業経験で培ったコミュニケーション能力と提案力をアピール。自主的にマーケティングやデザインに関するオンライン講座を受講し、ポートフォリオを作成。中小規模のブランディングエージェンシーに採用。
  • 転職後の職種: ブランドストラテジスト

事例2:ライターからブランドコピーライターへ転職

  • 前職: ウェブメディアで記事執筆や編集を担当。
  • 転職理由: 企業のブランドイメージを言葉で表現する仕事に魅力を感じたため。
  • 転職活動: 前職で培った文章力とリサーチ力をアピール。個人ブログでブランディングに関する記事を執筆し、ポートフォリオに加えた。ブランドコピーライターとして採用。
  • 転職後の職種: ブランドコピーライター

事例3:グラフィックデザイナーからブランドデザイナーへ転職

  • 前職: 印刷会社でDTPオペレーターを担当。
  • 転職理由: より戦略的な視点からブランドデザインに関わりたいと考えた。
  • 転職活動: デザインスキルに加えて、マーケティングやブランディングに関する知識を習得。ポートフォリオにブランドコンセプトを意識した作品を追加。デザイン会社からブランディング部門に配属される形で転職。
  • 転職後の職種: ブランドデザイナー

事例4:アパレル販売員からブランドマネージャーへ転職

  • 前職: アパレルショップで販売員を担当。
  • 転職理由: 接客経験から得た顧客心理への理解を活かし、ブランドマネージャーとして活躍したいと考えた。
  • 転職活動: 販売経験で培ったコミュニケーション能力と顧客視点をアピール。SNSで自身のブランドに関する情報発信を行い、ポートフォリオとして活用。未経験者歓迎のスタートアップ企業に採用。
  • 転職後の職種: ブランドマネージャー

転職成功のポイント

これらの事例から、未経験からの転職を成功させるためには、以下のポイントが重要であることがわかります。

  • 明確な転職理由: なぜブランディング業界に転職したいのか、具体的な動機を明確にする。
  • 強みのアピール: 前職で培ったスキルや経験の中で、ブランディング業界で活かせるものを洗い出し、積極的にアピールする。
  • 学習意欲: ブランディングに関する知識やスキルを自主的に学習し、積極的に習得する姿勢を示す。
  • ポートフォリオ: 自分のスキルや知識を具体的に示すために、ポートフォリオを作成する。
  • 情報収集: 積極的に求人情報を収集し、未経験者歓迎の企業や職種を探す。
  • 面接対策: 面接で自分の強みや熱意を効果的に伝えるために、十分な準備を行う。

ブランディング業界への未経験転職は難しく準備と戦略が不可欠

未経験者によるブランディング業界への転職は困難を伴いますが、決して実現不可能ではありません。ブランディング業界には多岐にわたる職種が存在し、ブランディング業界とは関係ない経験も有効活用できる余地があります。転職に際しては、明確な志望動機、自己の強みの強調、積極的な学習姿勢、およびポートフォリオの作成が不可欠です。