未経験の業界へ転職

未経験でSaaS業界へ転職する際の難易度とは?

最終更新日:2025年5月25日

目次

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  • SaaS業界とは?
    • SaaS業界の代表的な企業は?
    • SaaS業界の現状と将来性
  • SaaS業界で求められる職種と役割
  • 未経験でもSaaS業界に転職できる?と懸念されるポイント
    • SaaS特有の知識・用語の壁
    • IT関連テクノロジーへの理解
    • 早いスピード感での対応 
    • きついノルマへの不安
  • SaaS業界への未経験転職難易度ランキング
    • 1位. エンジニア(難易度:★★★★★)
    • 2位. プロダクトマネージャー(難易度:★★★★☆)
    • 3位. マーケティング(難易度:★★★☆☆)
    • 4位. カスタマーサクセス(難易度:★★☆☆☆)
    • 5位. セールス系(難易度:★★☆☆☆)
  • 未経験からSaaS業界への転職を成功させる効果的な方法
    • SaaS業界・製品への理解を深める
    • 志望する職種に必要なスキルの習得
    • 転職エージェントを活用する
    • イベントやセミナーなどのネットワーキングに参加する
  • 未経験者に有利なSaaS企業の選び方3選
  • 未経験者の効果的な自己アピール方法
    • 前職のスキル・経験の転用可能性を示す
    • 業界理解度をアピール
    • 学習意欲と適応力の強調
    • 資格取得などの自己学習の証明
  • SaaS業界でのキャリアパスと将来性
    • SaaS業界での一般的なキャリアパス例
    • キャリアアップのための成長戦略
    • 専門性と汎用性のバランス
  • 未経験でSaaS業界はチャレンジする価値のある領域

未経験者がSaaS業界に飛び込むにはどのような難易度があるのでしょうか?この記事では、SaaS業界への転職を考えている未経験者の方に向けて、その実態と対策について解説します

SaaS業界とは?

今日のビジネス環境において、SaaS(Software as a Service)は欠かせない存在となっています。ここでは、SaaS業界の現状や求められる役割などを紹介していきます。

SaaS業界の代表的な企業は?

SaaSの代表的な企業には、Microsoft 365(旧Office365)やSalesforce、Zoom、Slackなどが挙げられます。日本国内に限定すると、サイボウズ株式会社、Sansan株式会社、株式会社ラクス、freee株式会社などが業界を代表する企業です。

クラウド上でソフトウェアを提供するこのビジネスモデルは、成長産業として多くの注目を集め、それに伴い転職先としての人気も高まっています。

SaaS業界の現状と将来性

SaaS業界は近年、急速な成長を続けています。従来型のパッケージソフトウェアに代わり、サブスクリプション型のクラウドサービスが主流となり、あらゆる業種・業界でSaaSの導入が進んでいます。日本国内でも、コロナ禍をきっかけにリモートワークが普及し、クラウドツールの需要が一気に高まりました。

市場規模としては、2027年度は2兆990億円になるだろうとされており、これは2023年度見込みの49%増に値します。この情報からもわかる通り、SaaS業界は今後も安定した需要拡大が見込まれており、特に以下の分野でのSaaSサービス需要はさらに高まっています。

  • 営業支援(SFA)・顧客管理(CRM)ツール
  • マーケティングオートメーション
  • 業務効率化・プロジェクト管理ツール
  • コミュニケーションツール
  • データ分析・BI(ビジネスインテリジェンス)ツール

このように成長産業であるSaaS業界は業界の成長に伴い人材の需要も増えており、未経験者にとっても参入の余地があると言えるでしょう。

参考:日本経済新聞「SaaS市場 国内でも拡大」

SaaS業界で求められる職種と役割

SaaS業界には様々な職種が存在し、それぞれ求められるスキルや適性が異なります。主な職種として以下が挙げられます。

1. セールス系

  • アカウントエグゼクティブ:新規顧客の開拓
  • カスタマーサクセス:契約後の顧客サポートや活用促進

2. マーケティング系

  • マーケティングマネージャー:リード獲得戦略の立案・実行
  • コンテンツマーケター:ホワイトペーパーやブログの制作

3. エンジニアリング系

  • プロダクトエンジニア:サービスの開発・機能追加
  • QAエンジニア:品質保証テスト
  • インフラエンジニア:サービス基盤の構築・維持

4. プロダクト系

  • プロダクトマネージャー:製品戦略の策定
  • UIUXデザイナー:使いやすいインターフェースの設計

未経験者の場合、技術的なハードルが比較的低い「セールス系」や「カスタマーサクセス」から始めるケースが多いですが、前職のスキルや経験によっては他の職種への転職も可能です。

未経験でもSaaS業界に転職できる?と懸念されるポイント

未経験者がSaaS業界へ転職する際に懸念されるポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

SaaS特有の知識・用語の壁

 SaaS業界では独特の用語やビジネスモデルへの理解が必要です。

例えば、「MRR(月間経常収益)」、「チャーンレート(解約率)」、「カスタマーサクセス」といった概念は、他業界からの転職者にとって馴染みがないことが多いです。

IT関連テクノロジーへの理解

 エンジニアでなくても、基本的なIT知識やテクノロジーへの理解が求められます。特にB2B(企業向け)SaaSでは、顧客の業務課題を理解し、それをテクノロジーで解決する提案力が重要です。

早いスピード感での対応 

SaaS企業、特にスタートアップは意思決定や業務のスピードが非常に速い傾向があります。従来の大企業や異業種から転職する場合、このスピード感についていけるかが課題となることがあります。

きついノルマへの不安

 特にセールスやマーケティングの職種では、数値目標の達成が厳しく求められます。KPI(重要業績評価指標)管理が徹底されている企業が多く、結果にコミットする覚悟が必要です。

SaaS業界への未経験転職難易度ランキング

SaaS業界内でも、職種によって未経験者の転職難易度は大きく異なります。以下に主な職種別の難易度をランキング形式で紹介します。

順位職種難易度
1位エンジニア難易度:★★★★★
2位プロダクトマネージャー難易度:★★★★☆
3位マーケティング難易度:★★★☆☆
4位カスタマーサクセス難易度:★★☆☆☆
5位セールス系難易度:★★☆☆☆

1位. エンジニア(難易度:★★★★★)

 プログラミングスキルや技術的な知識が必須であるため、IT業界未経験者にとっては最もハードルが高い職種です。ただし、独学やプログラミングスクールなどでスキルを習得してからの転職は可能です。

しかし、独学で実務経験レベルのエンジニアスキルを身につけるには多くの時間が必要になるデメリットもあります。未経験からSaaS業界のエンジニアに転職したいという場合は、IT業界の他の企業で経験とスキルを積み、そこからSaaS業界への転職を行うのも有効な手段のひとつといえます。

下記の記事では未経験からIT業界に転職する難易度について詳しく解説しているのでぜひ、参考にしてみて下さい。

関連記事:未経験でIT業界へ転職する際の難易度とは?

2位. プロダクトマネージャー(難易度:★★★★☆)

製品開発の経験やテクノロジーへの理解、ビジネス戦略策定能力など、幅広いスキルが求められるため、完全な未経験からの転職は難しい傾向にあります。

3位. マーケティング(難易度:★★★☆☆)

マーケティング経験者であれば転職の可能性は高いですが、デジタルマーケティングの知識やデータ分析スキルが求められることが多く、これらのスキルがなければ難易度は上がります。

4位. カスタマーサクセス(難易度:★★☆☆☆)

こちらも未経験者が比較的挑戦しやすい職種です。カスタマーサポートや営業のバックグラウンドがあれば強みになります。顧客との良好な関係構築能力が重視されます。

5位. セールス系(難易度:★★☆☆☆)

比較的参入障壁が低い職種です。特にBtoBの営業経験者であれば、その経験を活かすことができます。ただし、SaaSのセールスは従来型の営業とはアプローチが異なることが多いため、過去の営業手法が使えない場合もありますので考え方の転換が必要です

未経験からSaaS業界への転職を成功させる効果的な方法

SaaS業界への転職を成功させるためには、以下のような準備が効果的です。

SaaS業界・製品への理解を深める

未経験からSaaS業界への転職を成功させたい場合は、様々なSaaSプロダクトを実際に使ってみることをおすすめします。多くのサービスは無料トライアルを提供しており、気軽に利用することができます。企業に応募する前に、応募先の製品の特徴や構造を理解しアピールすることで、志望度の高さをアピールすることができます。

また、SaaS企業のブログやホワイトペーパー、ニュースやトレンドをチェックするメディアをフォローすることで、業界の情報に詳しくなり転職後も比較的早い段階で業界に慣れることが可能です。

志望する職種に必要なスキルの習得

自分が志望するSaaS業界の職種に必要なスキルを習得しておくことは、未経験から転職を成功させるにはかなり効果的な方法と言えるでしょう。それぞれに必要なスキルは下記のとおりです。

  • セールス志望:提案型営業のスキル、CRMツールの使用経験
  • マーケティング志望:デジタルマーケティングの基礎、GoogleアナリティクスやSEOの知識
  • エンジニア志望:プログラミング言語の習得、クラウドサービス(AWS、Azure等)の理解

転職エージェントを活用する

SaaS業界に限らず未経験の業界に転職する場合、「転職エージェント」を上手く活用することで数段、難易度が下がる場合もあります。

多くの転職エージェントは無料で利用することができ、自分に合った求人の紹介から履歴書の添削・面接対策・推薦による後押しなど様々なサービスを受けることができます。求人が多すぎて何をどういう基準で選べばいいかわからない、何回挑戦しても書類選考さえ通過しない、面接が苦手…そんな方はぜひエージェントを利用してみましょう。

未経験からSaaS業界への転職に挑戦したい場合は、未経験転職に特化した「BOLELOエージェント」に相談してはいかがでしょうか?

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なお、転職エージェントは無料でサービスを受けられますし、SaaS業界以外にも興味がある方であれば同時に別業界の求人を紹介して貰える場合もあります。また、あなたの経験や価値観に基づいた適職の提案や転職成功までのアドバイスで転職成功率を格段に上げることができます。

「SaaS業界で働いてみたい!」などの想いからSaaS業界に未経験で転職を希望する際には、転職エージェントを最大限活用してみましょう。

イベントやセミナーなどのネットワーキングに参加する

SaaS業界独自のイベントやセミナーなどに参加をすることで、業界への知見を広げることができます。また、LinkedIn等でSaaS業界人材とのつながりを構築できれば、未経験でのリファラル採用など様々な転職方法を実現することに近づきます。

未経験者に有利なSaaS企業の選び方3選

すべてのSaaS企業が未経験者を積極的に採用しているわけではありません。未経験者が転職しやすいSaaS企業の特徴としては、以下が挙げられます。

1.自己の成長フェーズに応じて選ぶ

  • シード〜シリーズA程度のアーリーステージスタートアップ:人材確保に急いでおり、セールス系人材などであればポテンシャル採用を行うことが多い
  • 大手SaaS企業:研修制度が整っており、未経験者向けのトレーニングプログラムがある場合も

2. 製品の性質で選ぶ

  • 比較的シンプルな製品を提供している企業:製品理解のハードルが低い
  • 自分の前職の業界向けSaaS:業界知識を活かせる

3. 企業文化・風土で選ぶ

  • 「挑戦を奨励する」「失敗から学ぶ」といった文化を持つ企業
  • 多様性を重視し、様々なバックグラウンドの人材を採用している企業

転職サイトやクチコミサイトで企業研究を行い、自分に合った企業を見つけることが大切です。時間が無い、どう調べていいか分からないという方は転職エージェントに相談してみることをおすすめします。

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未経験者の効果的な自己アピール方法

SaaS業界への転職面接で、未経験者が効果的に自己アピールするためのポイントを解説します。

前職のスキル・経験の転用可能性を示す

 SaaSと全く関係のない業界からの転職であっても、以下のような転用可能なスキルをアピールしましょう。

  • 顧客対応能力
  • プロジェクト管理スキル
  • データ分析能力
  • チームワークやコミュニケーション能力

業界理解度をアピール

 面接前に志望企業の製品を実際に試用し、その感想や改善点などを伝えられるようにしておきましょう。また、競合製品との比較ができると、さらに理解度が高いとアピールできます。

学習意欲と適応力の強調

SaaS業界は変化が速いため、新しいことを素早く学び、変化に適応する能力が重視されます。過去に新しい環境や技術に適応した経験を具体的に伝えましょう。

資格取得などの自己学習の証明

未経験であることをカバーするため、自己学習の成果を示すことが有効です。

  • 関連する資格の取得
  • オンライン講座の修了証
  • 個人プロジェクトの実績

これらの要素を組み合わせることで、「未経験だが、高いポテンシャルを持つ人材」として評価される可能性が高まります。

SaaS業界でのキャリアパスと将来性

ここではSaaS業界への転職に成功した後の一般的なキャリアパスについて解説します。

SaaS業界での一般的なキャリアパス例

  • セールス系:セールスレップ → アカウントマネージャー → セールスマネージャー → セールスディレクター
  • カスタマーサクセス:CSマネージャー → CS統括 → カスタマーエクスペリエンス責任者
  • マーケティング:マーケティングスペシャリスト → マーケティングマネージャー → CMO(最高マーケティング責任者)

キャリアアップのための成長戦略

SaaS業界内でキャリアアップするための成長戦略は下記のとおりです。

  • 業界認定資格の取得(Salesforce認定資格、Google広告認定資格など)
  • 社内の異なる部門での経験(セールスからカスタマーサクセスへ、など)
  • データ分析スキルの強化(SaaS企業ではデータドリブンな意思決定が重視されるため)
  • リーダーシップスキルの開発(プロジェクトリーダーなどの役割を積極的に担うことで得られる)

データ分析スキルの強化のキャリアパスには、データサイエンス業界へ転職などもおすすめです。近年はビッグデータの活用が進み、データから価値を引き出すデータサイエンティストの重要性が高まっています。キャリアアップのための成長戦略として、データサイエンス業界を視野に入れている人は、下記の記事を参考に今後のキャリアプランを考えてみましょう。

関連記事:未経験からデータサイエンス業界へ転職する難易度は?

専門性と汎用性のバランス

SaaS業界でのキャリア構築では、特定の領域での専門性を高めるか、複数の職能を経験して汎用性を高めるか、という選択肢があります。どちらが良いかは個人の志向や目標によりますが、特に未経験からのスタートでは、まず一つの領域で確実に実績を積むことが重要です。

SaaS業界は成長産業であるため、一度足を踏み入れれば、その後のキャリアの可能性は大きく広がります。継続的な学習と実績の積み重ねによって、業界内での価値を高めていきましょう。

未経験でSaaS業界はチャレンジする価値のある領域

未経験からSaaS業界へ転職することには確かに障壁がありますが、計画的な準備と戦略的なアプローチによって、十分に実現が可能です。SaaS業界の急速な成長と多様な職種の存在は、様々なバックグラウンドを持つ人材に機会を提供しています。

SaaS業界への転職を目指すにあたって最も重要なのは、自分の強みや前職での経験をどのようにSaaS業界で活かせるか明確にすることです。また、業界特有の知識やトレンドへの理解を深め、志望する職種に必要なスキルを習得する努力も欠かせません。