未経験でITインフラ業界へ転職する際の難易度とは？

IT業界の中でも基盤を支える重要な分野がITインフラです。クラウド化が進む現代においても、サーバーやネットワークなどのインフラ技術者の需要は高く、未経験からの転職先として注目されています。しかし、実際にITインフラ業界へ転職するのはどの程度難しいのでしょうか？この記事では、未経験者がITインフラ業界へ転職する際の難易度と転職成功するためのポイントについて解説します。

ITインフラとは？

ITインフラストラクチャー（以下、ITインフラ）とは、IT環境を支える基盤技術のことです。ITインフラ業界で働くエンジニアのことをインフラエンジニアといい、DX化が進む現代において多くの企業が人材採用に力を入れている領域のひとつでもあります。

ITインフラの仕事内容は？

ITインフラ業界は主に以下の要素から構成されています。

ITインフラ業界では、これらの設計・構築・運用・保守を行う技術者が活躍しています。働き方としては、企業の情報システム部門（社内SE）、ITベンダー、SIer（システムインテグレーター）などがあります。

近年では、オンプレミス（自社内設置型）のインフラからクラウドへの移行が進んでおり、クラウドインフラの知識・スキルを持つ人材の需要が高まっています。

下記の記事では、IT業界全体の未経験転職の難易度について詳しく解説しています。ITインフラだけでなく全体を詳しく知りたいという方はぜひ、参考にしてください。

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ITインフラの仕事はきつい？

ITインフラだけでなく、IT業界は需要が高まり今後の成長も期待できる業界ですが、急速に拡大する需要は深刻な人材不足を招き課題となっています。

需要が高くなる一方で作業をこなす開発者などの技術者が足りないと、ひとりひとりが抱える作業量が増え、残業や休日出勤をせざるを得ない状況など、過酷な労働環境で働く人が増えていきます。それがインフラエンジニアの仕事がきついと言われる理由のひとつと言えるでしょう。

実際に厚生労働省の「令和4年版　労働経済の分析」によればIT業界は慢性的な人材不足状態にあり、約55％の企業が人材不足に悩むと答えています。しかし、このような人手不足の状態は未経験でITインフラ業界に入りたいと考えている転職希望者にとっては追い風となり、転職成功率を上げてくれる要因の一つにもなります。

参考：厚生労働省「令和4年版　労働経済の分析」

未経験からでもITインフラ業界に転職できる！

ITインフラ業界へ未経験で転職する際の難易度は、どれほどでしょう？結論、比較的入りやすいものの、専門性を高めるには継続的な学習が必要と言えます。

ITインフラは専門性が高い分野ですが、大規模システムの増加に伴い人材不足の状態が続いています。そのため、未経験者でも一定の適性があれば採用される可能性は十分にあります。特に以下のような条件が整えば、転職のハードルは下がります。

ただし、高度な技術を要するポジションや大手企業への転職は、未経験者にとってはハードルが高い傾向にあります。まずは入門レベルのポジションから始めて、徐々にスキルアップしていくのが一般的なキャリアパスとなります。

ITインフラ業界で求められるスキルと知識

ITインフラ業界で求められる主なスキルと知識は以下の通りです。

技術的スキル

非技術的スキル

未経験者の場合、最初からこれらすべてを習得する必要はありません。入門レベルのポジションであれば、基本的なOS知識とネットワークの基礎知識があれば応募可能な求人も多くあります。入社後に実務を通じて学んでいくケースが一般的だからです。

年代別に見る転職難易度の違い

ITインフラ業界への転職難易度は、年代によっても異なります。

20代の未経験転職は比較的簡単

 若さとポテンシャルを評価されやすく、未経験でも採用される可能性が高いのがITインフラ業界です。特に「第二新卒」と呼ばれる20代前半であれば、新卒採用に近い形で選考が行われることもあります。教育も採用企業がする前提で採用しているのでスキル取得で選考に参加する年齢が高くなってしまうくらいであればあまり経験がない状態でも若いうちに選考に参加する方が良いと言えます。

30代前半の場合は社会人としての基礎力をアピール

30代前半になるとポテンシャル採用はまだ可能ですが、前職での経験をITインフラにどう活かせるかをアピールする必要性が高まります。社会人としての基礎力があることを示せれば、まだまだチャンスはある年齢です。

30代後半〜40代は比較的難易度が高い

30代後半以降になると完全未経験でITインフラ業界への転職はハードルが上がります。ただし、前職で管理経験やプロジェクト経験があれば、それを活かせるポジション（マネジメント寄りの役割など）で採用される可能性はあります。また、業種特化型のインフラエンジニア（金融系SIerなど）として、前職の業界知識を活かす道もあります。

50代以上は未経験で転職するのは難しい

50代以上になると完全未経験での転職はかなり難しくなります。ただし、経営層との折衝経験や大規模プロジェクト管理経験があれば、コンサルタント的なポジションでの採用可能性はあります。

企業タイプ別、未経験からの参入しやすさの違い

ITインフラ業界内でも、企業タイプによって未経験者の採用傾向は異なります。

SIer（システムインテグレーター）: （難易度★★★☆☆）

 大手SIerは新卒採用と中途（経験者）採用が中心ですが、中小SIerは未経験者を採用し育成するケースも多いです。特に、運用・保守部門であれば未経験者の参入障壁は比較的低いと言えます。

ITベンダー/メーカー: （難易度★★★★☆ ）

技術的な専門性を重視する傾向があり、未経験者の参入はやや難しいケースが多いです。ただし、サポート部門などへの採用は可能です。

ユーザー企業（情報システム部門）: （難易度★★★☆☆ ）

企業によって方針が異なりますが、自社の業務を理解している社内人材を情報システム部門に配属し、ITスキルを習得させるケースもあります。外部からの未経験採用も、社風や企業文化に合う人材であれば可能性はあります。

データセンター事業者: （難易度★★☆☆☆）

 24時間365日の運用体制を敷いている企業が多く、シフト勤務が可能な人材を広く募集している傾向があります。運用オペレーターとしての採用であれば、未経験者でも採用されるケースが比較的多いです。

MSP（マネージドサービスプロバイダー）: （難易度★★★☆☆）

 中小企業向けにITインフラの構築・運用を提供する企業です。人材不足が顕著で、未経験者の採用・育成に積極的な企業も少なくありません。

資格の有効性と効果的な取得戦略

ITインフラ分野では資格が重視される傾向があり、未経験者が転職時にアピールポイントとして活用できます。

入門レベルの資格

未経験者はまずこれら入門レベルの資格を1〜2つ取得し、基礎知識があることをアピールするのが効果的です。

中級〜上級レベルの資格

これらは実務経験を積みながら、キャリアアップを目指して取得していくのが一般的です。

資格はあくまで「知識がある」ことの証明であり、実務能力を直接証明するものではありません。しかし、特に未経験者の場合、「学習意欲がある」「基礎知識を持っている」というアピールになるため、転職活動においては有効です。

具体的な転職準備のステップとエージェント活用

未経験からITインフラ業界への転職を成功させるためには、計画的な準備が必要です。以下に具体的なステップと目安期間を示します。

STEP 1: 基礎知識の習得（2〜3ヶ月）

STEP 2: 実践的なスキル習得（2〜3ヶ月）

STEP 3: 資格取得（1〜2ヶ月）

STEP 4: 転職活動の準備（1ヶ月）

ITインフラ未経験なら転職エージェントを活用しよう

ITインフラ業界に限らず未経験の業界に転職する場合、「転職エージェント」を上手く活用することでより効果的に転職できる場合があります。

多くの転職エージェントは無料で利用することができ、自分に合った求人の紹介から履歴書の添削・面接対策・推薦による後押しなど様々なサービスを受けることができます。求人が多すぎて何をどういう基準で選べばいいかわからない、何回挑戦しても書類選考さえ通過しない、面接が苦手…そんな方はぜひエージェントを利用してみましょう。

ITインフラ業界未経験の方は未経験転職に特化した「BOLELOエージェント」に相談してはいかがでしょうか？

なお、転職エージェントは無料でサービスを受けられますし、ITインフラ業界以外にも興味がある方であれば同時に別業界の求人を紹介して貰える場合もあります。また、あなたの経験や価値観に基づいた適職の提案や転職成功までのアドバイスで転職成功率を格段に上げることができます。

「インフラエンジニアになりたい！」などの想いからITインフラ業界に未経験で転職を希望する際には、転職エージェントを最大限活用してみましょう。

未経験からの転職成功事例と共通点

実際に未経験からITインフラ業界に転職した人々の事例から、成功のための共通点を探ってみましょう。

事例1: 営業職からインフラエンジニアへ

30代前半の営業職の方が、基本情報技術者試験とLPIC Level 1を取得し、中小SIerのインフラ運用部門へ転職。前職での顧客折衝経験が評価され、クライアント対応もできるエンジニアとして採用されました。

事例2: 製造業から自社内IT部門へ

20代後半の製造ラインスタッフが、独学でサーバー知識を習得し、自社内の情報システム部門へ異動。製造現場の業務知識を活かして、製造部門向けシステムの運用担当として活躍しています。

事例3: 飲食業からデータセンター運用へ

30代前半の飲食店店長が、シフト勤務の経験を活かしてデータセンター運用オペレーターへ転職。24時間365日の監視業務からキャリアをスタートし、徐々に技術スキルを習得しながらステップアップしています。

これらの成功事例に共通するポイントは以下の通りです。

• 前職のスキル・経験の活かし方を明確にしていた
• 自己学習への意欲と実際の行動力があった
• 最初から高いポジションを求めず、入門レベルからスタートした
• 資格取得など、学習の成果を客観的に示せるものがあった
• 技術だけでなく、コミュニケーション能力などの非技術的スキルもアピールした

ITインフラ業界への未経験転職は対策次第で十分可能

ITインフラ業界への転職は、未経験者にとって決して容易ではありませんが、計画的な準備と適切なアプローチによって十分にチャレンジする価値のある分野です。

この業界の魅力は、以下のような点にあります。

• 社会インフラを支える重要な仕事であること
• 技術の進化が速く、常に新しい知識が得られること
• スキルが明確で、経験を積むことでキャリアアップの道筋が見えやすいこと
• リモートワークなど柔軟な働き方が可能なケースが増えていること
• クラウド化の流れにより、新たなスキルセットの需要が高まっていること

未経験からの転職を成功させるためには、基礎知識の習得と資格取得を通じた学習意欲のアピール、そして前職での経験をITインフラにどう活かせるかを明確にすることが重要です。また、最初から高度な技術職を目指すのではなく、入門レベルのポジションからスタートし、実務経験を積みながらステップアップしていく姿勢も大切です。

ITインフラは今後も企業活動の基盤として欠かせない分野であり、継続的な学習意欲があれば、未経験からでも長く活躍できるフィールドと言えるでしょう。チャレンジする価値は十分にあります。