未経験の業界へ転職

未経験からサイバーセキュリティ業界へ転職する難易度は?

最終更新日:2025年5月25日

目次

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  • サイバーセキュリティ業界とは?
    • サイバーセキュリティ業界の主な仕事
    • サイバーセキュリティ業界の現状。人材不足だから転職はやめとけ?
  • 未経験でもサイバーセキュリティ業界に転職できる?
    • スキル次第で未経験でもセキュリティエンジニアになれる
    • 未経験転職の難易度を左右する4つの要素
  • セキュリティエンジニア未経験者におすすめの職種
  • 未経験から転職成功のための5つの方法
    • 1.サイバーセキュリティの基礎からIT知識の習得
    • 2.実践的な学習環境の活用
    • 3.セキュリティ関連のコミュニティに参加
    • 4.体系的な学習のためのロードマップを作成
    • 5.業界未経験に強い転職エージェントを活用
  • 未経験からでも取得を目指したい資格
  • 転職活動での自己アピールポイント
  • 未経験からサイバーセキュリティ業界への転職は難しくスキルを身につける必要がある

近年、デジタル化が進む中でサイバーセキュリティの重要性は増す一方です。それに伴い、セキュリティ人材の需要も高まっています。サイバーセキュリティ業界を志望する人の中には「未経験でもサイバーセキュリティ業界に転職できるのか」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、未経験からサイバーセキュリティ業界へ転職する際の難易度と、成功するための具体的なステップをご紹介します。

サイバーセキュリティ業界とは?

サイバーセキュリティ業界への未経験転職について紹介する前に、サイバーセキュリティ業界がどんなもので、業界全体の現状はどうなっているのかを確認していきましょう。

サイバーセキュリティ業界の主な仕事

サイバーセキュリティ業界で働くエンジニアは主にセキュリティエンジニアと呼ばれ、不正アクセスに強いシステムの構築・運用や、企業における情報セキュリティポリシーの策定、システムへの不正アクセス・情報の漏えい・システムの停止を防いでいます。

近年、サイバー犯罪の検挙件数は年々増加しており、令和5年(2023年)の検挙件数は1万2,479件と過去最多を記録しています。この数字は過去10年間で約2倍に増加しており、特に不正アクセスによる情報窃取やインターネットバンキングの不正送金などの犯罪が増加しています。

また、企業全体でDX化の推進をする企業が増えたことにより、顧客情報やデータをオンラインで管理するようになっている企業が増加。セキュリティエンジニアのニーズは日々増え続けているといえます。

参考:警察庁「サイバー事案等の検挙状況」

サイバーセキュリティ業界の現状。人材不足だから転職はやめとけ?

サイバーセキュリティ業界は現在、深刻な人材不足に直面しています。経済産業省の調査によると、日本国内では日本の約9割の中小企業はセキュリティ人材が不足していると感じ、過去10年以上改善がみられていない状況です。この問題は企業にとって大きな課題である一方、転職を考える方にとってはチャンスでもあります。

人材不足を背景に、多くの企業が未経験者でもポテンシャルがあれば採用する姿勢に転じています。特に、ITの基礎知識があり、セキュリティに対する強い関心と学習意欲を示す人材は歓迎される傾向にあります。

ただし、「未経験者歓迎」と言っても、まったくの無知識では内定獲得は厳しいのが現実です。最低限のIT知識や、セキュリティに関する基本的な理解は必要とされます。

参考:経済産業省「第10回産業サイバーセキュリティ研究会ワーキンググループ2(経営・人材・国際)事務局説明資料」

未経験でもサイバーセキュリティ業界に転職できる?

未経験からセキュリティエンジニアに転職することは可能なのでしょうか?

スキル次第で未経験でもセキュリティエンジニアになれる

未経験からセキュリティエンジニアになれるかどうかは、持っているスキルや経験・知識によって違ってきます。セキュリティエンジニアは、IT業界にあるその他のエンジニアと比べても専門知識が多く必要であり、エンジニアとしての経験やスキルが全く無い状態では転職は厳しい業界であると言えます。

一方で、エンジニアの経験はあるが、セキュリティエンジニアは未経験の場合は比較的転職がしやすい環境です。サーバーやOS、ネットワークについての知識を深めておくとより転職しやすくなるのでおすすめです。

どうしても未経験からセキュリティエンジニアになりたいという方は、IT業界の企業へ転職してからサイバーセキュリティ業界に転職する方法がおすすめです。下記の記事では未経験からIT業界に転職する際の難易度について詳しく解説しているのでぜひ、参考にしてみて下さい。

関連記事:未経験でIT業界へ転職する際の難易度とは?

未経験転職の難易度を左右する4つの要素

サイバーセキュリティへの未経験転職の難易度は、主に以下の要素によって大きく変わります。

  1. バックグラウンド:IT関連の業務経験や知識があるかどうかは大きな差になります。プログラミング経験や、システム管理、ネットワーク運用などの経験があれば、比較的ハードルは低くなります。
  2. 目指す職種やポジション:セキュリティエンジニア、コンサルタント、アナリストなど、職種によって求められるスキルセットは異なります。技術的な職種ほど、専門知識が求められる傾向があります。
  3. 資格の有無情報セキュリティマネジメント試験やSecurity+などの入門レベルの資格でも、学習意欲の証明になります。
  4. 自己学習の度合い:独学でどれだけ知識を身につけているかも重要です。CTF(Capture The Flag)などのセキュリティコンテストへの参加経験などもアピールポイントになります。

全くの未経験から最先端のセキュリティ専門企業に転職するのは難しいかもしれません。しかしステップを踏んで着実にキャリアを構築していけば、セキュリティ専門企業への就業も十分に実現可能な目標です。

セキュリティエンジニア未経験者におすすめの職種

サイバーセキュリティ業界といっても、様々な職種があります。未経験者にとって比較的転職しやすい職種をいくつかご紹介します。

  1. SOC(Security Operation Center)アナリスト:セキュリティ監視業務を行うエントリーレベルの職種です。基本的なネットワークやセキュリティの知識があれば、OJTで成長できる環境が多いです。
  2. セキュリティヘルプデスク:ユーザーからのセキュリティ関連の問い合わせに対応する仕事です。コミュニケーション能力と基本的なITリテラシーがあれば始められます。
  3. IT監査アシスタント:企業のセキュリティ体制を確認する監査業務のサポート役です。ビジネス経験があれば、その知識を活かせる場合があります。
  4. セキュリティベンダーの営業職:セキュリティ製品を扱う企業の営業職は、技術よりもコミュニケーション能力や提案力が重視される傾向があります。

業界への入り口としてまずはこれらの職種からスタートし、実務経験を積みながらより専門的な職種へステップアップしていくのが現実的なキャリアパスと言えるでしょう。

未経験から転職成功のための5つの方法

未経験からサイバーセキュリティ業界に転職するためには、計画的なスキルアップが不可欠です。ここでは効果的な転職戦略をご紹介します。

1.サイバーセキュリティの基礎からIT知識の習得

ネットワーク、OS(Windows、Linux)、データベースなどのIT基礎知識は、セキュリティを学ぶ土台になります。まずはここからしっかり学びましょう。

具体的には、セキュリティの基本概念の理解として、CIA三原則(機密性、完全性、可用性)やリスク管理、脅威モデルなど、セキュリティの基本的な考え方を学習しましょう。

2.実践的な学習環境の活用

未経験から転職を成功させるためには実践的なスキルを身に着ける必要があります。TryHackMeやHackTheBoxなどのプラットフォームを使って、実際のセキュリティ課題に取り組む経験を積むことができるのをご存じでしょうか?さらに専門的に学びたい方は、大学院や専門学校、スクールに通うのも有効な方法のひとつといえます。

セキュリティのスクールやブートキャンプの活用も検討してみてください。短期間で集中的に学べるだけでなく、修了証が転職活動の際のアピールポイントになることがあります。

ただし大学院や専門学校は既卒の方や離職中の方などまとまった時間を確保できる人におすすめの方法です。在職中で時間がない人はプラットフォームでの学習がおすすめです。

3.セキュリティ関連のコミュニティに参加

勉強会やカンファレンスに参加して、知識だけでなく人脈を広げるのも転職には有効です。思わぬ形で転職先の門戸が開かれる可能性もありますし、セキュリティ事情はめまぐるしく変わっていくため情報交換先として同じ業界の知り合いを持っておくに越したことはありません。遠方の方や時間がない方にはオンラインのセキュリティコミュニティもあります。

4.体系的な学習のためのロードマップを作成

「CompTIAのSecurity+を取得する」→「ネットワークセキュリティの実践的知識を身につける」→「脆弱性診断の基礎を学ぶ」というように、段階的な目標を設定しましょう。資格の取得などには勉強時間の確保はもちろん、試験日の把握や資格取得費用の確認も必要です。

5.業界未経験に強い転職エージェントを活用

サイバーセキュリティ業界に限らず未経験の業界に転職する場合、「転職エージェント」を上手く活用することでより効果的に転職できる場合もあります。

多くの転職エージェントは無料で利用することができ、自分に合った求人の紹介から履歴書の添削・面接対策・推薦による後押しなど様々なサービスを受けることができます。求人が多すぎて何をどういう基準で選べばいいかわからない、何回挑戦しても書類選考さえ通過しない、面接が苦手…そんな方はぜひエージェントを利用してみましょう。

サイバーセキュリティ業界未経験の方は未経験転職に特化した「BOLELOエージェント」に相談してはいかがでしょうか?

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なお、転職エージェントは無料でサービスを受けられますし、サイバーセキュリティ業界以外にも興味がある方であれば同時に別業界の求人を紹介して貰える場合もあります。また、あなたの経験や価値観に基づいた適職の提案や転職成功までのアドバイスで転職成功率を格段に上げることができます。

「セキュリティエンジニアになりたい!」などの想いからサイバーセキュリティ業界に未経験で転職を希望する際には、転職エージェントを最大限活用してみましょう。

未経験からでも取得を目指したい資格

資格は知識の証明になるだけでなく、学習の指針にもなります。ここでは未経験者が最初に目指すべき資格をいくつかご紹介します。

  1. 情報セキュリティマネジメント試験:国家資格で、セキュリティの基礎知識を問う試験です。比較的取得しやすく、日本企業では評価されます。
  2. CompTIA Security+:国際的に認知された入門レベルのセキュリティ資格です。英語の試験ですが、日本語版も提供されています。
  3. CISSP Associate:CISSP(Certified Information Systems Security Professional)の予備資格で、実務経験がなくても取得可能です。
  4. EC-Council CEH(Certified Ethical Hacker):倫理的なハッキング技術を証明する資格です。実践的な知識を身につけられます。

ただし、資格取得は目的ではなく手段であることを忘れないでください。知識を深め、実践的なスキルを身につけることが重要です。資格取得のためにその場しのぎで知識を詰め込むのではなく、背景の理解や実践的な過去問を通して現場で使える知識を身に着けていきましょう。

参考:
情報セキュリティマネジメント試験
CompTIA Security+
CISSP Associate
EC-Council CEH(Certified Ethical Hacker)

転職活動での自己アピールポイント

未経験からサイバーセキュリティ業界への転職を成功させるためには、効果的な自己アピールの作成が重要です。

  1. 学習への積極性と情熱独学で身につけた知識や、参加したセミナー、取り組んだプロジェクトなどをアピールしましょう。GitHub上での活動などもポートフォリオになります。
  2. トランスファラブルスキル(転用可能なスキル):前職で培った問題解決能力、分析力、コミュニケーション能力などがセキュリティ業界でどう活かせるかを具体的に説明しましょう。
  3. セキュリティへの関心の理由:なぜセキュリティに興味を持ったのか、どのようなセキュリティ課題に取り組みたいかなど、明確なビジョンがあると好印象です。
  4. 継続的な学習コミットメントセキュリティは常に進化する分野です。学び続ける姿勢をアピールしましょう。

履歴書やポートフォリオでは、具体的な成果や取り組みを数字や事例で示すことが効果的です。たとえ小さなプロジェクトや自主学習の成果でも、具体的に伝えることで説得力が増します。

未経験からサイバーセキュリティ業界への転職は難しくスキルを身につける必要がある

未経験からサイバーセキュリティ業界への転職は、決して容易ではありませんが、不可能ではありません。人材不足の現状と、デジタル社会の進展に伴うセキュリティニーズの高まりを考えると、チャレンジする価値は十分にあります。

成功のカギは、基礎からの着実な学習と、実践的なスキルの習得、そして粘り強い転職活動です。一朝一夕で専門家になることはできませんが、明確な目標と計画を持って取り組めば、必ず道は開けるはずです。

セキュリティは「守る」技術ですが、その本質は「学び続ける」ことにあります。未経験からスタートする方こそ、その姿勢を大切にして、一歩一歩キャリアを築いていってください。安全なデジタル社会の構築に貢献できる、やりがいのある仕事があなたを待っています。。