最終更新日:2025年5月30日
未経験でWebデザイン業界へ転職する際の難易度は?
近年、IoT(Internet of Things:モノのインターネット化)は私たちの生活や産業に大きな変革をもたらしていまデジタル化が進む現代社会において、Webデザイナーの需要は年々高まっています。美しいウェブサイトやアプリの背後には、ユーザー体験を考慮しながら視覚的に魅力的なデザインを作り上げるWebデザイナーの存在があります。「デザインが好き」「クリエイティブな仕事がしたい」という理由から、未経験でもWebデザイン業界への転職を検討する方は少なくありません。
しかし、実際のところ未経験からのWebデザイン業界への転職はどの程度難しいのでしょうか?必要なスキルや転職成功のためのステップは何なのでしょうか?この記事では、Webデザイン業界の現状や未経験者の転職難易度について詳しく解説します。
Webデザイン業界への未経験転職を紹介する前に、Webデザイン業界がどんなもので、業界全体の現状はどうなっているのかを確認していきましょう。
Webデザイン業界で働くWebデザイナーの仕事内容は多岐に渡ります。その中でも特に重要視されている仕事はWebサイトのデザインと制作です。Webサイトの構成やレイアウト、デザインまで企画・制作することで、普段から目にするようなウェブサイトやECサイトをデザインしています。
下記にWebデザイナーの仕事として該当する主なものをまとめました。会社によっては分業制を引いていたり1から作成するのではなく指示書に基づいて作業をすることがありますが、ここで挙げる仕事を全てやる必要がある会社もあるなど業務範囲と裁量は企業によってまちまちです。
仕事内容 | 詳細 |
---|---|
ウェブサイトデザイン | 企業のウェブサイトやECサイトのデザイン作成。サイト全体のレイアウト、色彩、フォントなどを決定する。 |
UI/UXデザイン | ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)のデザイン。ユーザーがウェブサイトやアプリを快適に利用できるような設計を行う。 |
グラフィックデザイン | バナー広告やロゴ、アイコンなどのデザイン。ウェブサイトの視覚的な魅力を高める。 |
コーディング | HTML/CSS、JavaScriptなどを使用したウェブサイトのコーディング。デザインを実際にウェブ上で機能させる。 |
Webデザイン業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、着実に成長を続けています。ITおよび通信分野に関する調査・分析を行うIDC Japanによると、国内IT市場の2023〜2028年の年間平均成長率(CAGR)は4.9%で、2028年には27兆8650億円の規模になると予測しています。しかし一方で、従業員規模99人以下の小規模企業では、デジタル化およびDXの取り組みは遅れています。IT支出も、比較的低い状態が続くと見られており、未経験からWebデザイン業界を目指す人にとっては小さい希望の会社でチャンスが多い事がわかります。
特に近年では、単にウェブサイトをデザインするだけでなく、ユーザー体験(UX)やユーザーインターフェース(UI)の重要性が高まっており、UI/UXデザイナーという専門職の求人も増えています。また、レスポンシブデザイン(様々な画面サイズに対応したデザイン)の必要性から、技術的な知識も求められるようになってり、単純なデザインスキルだけでなく、HTML/CSSなどのコーディング知識やマーケティングの基礎知識なども求められることが多くなっています。
参考:MONOist「中小企業でもIT投資拡大、国内市場は2028年に27.9兆円規模へ IDC調査」
結論からお伝えすると、未経験からWebデザイン業界への転職は比較的難しいと言えるでしょう。未経験からの転職は完全に門戸が閉ざされているわけではありませんが、ある程度の努力とスキルアップは必要です。
前提として未経験からWebデザイン業界への転職は比較的難しいと伝えました。ではその理由は何なのでしょうか?Webデザイン業界への未経験転職は以下の4つの理由から難しいと言われています。
これらの理由からWebデザイナーへの未経験転職は難しいと言われており、特に「デザインスキル」が習得までに多くの時間が必要になることから、即戦力が求められるデザイン業界への転職を難しくしている最大のポイントと言えます。
未経験でWebデザイン業界への転職が難しい理由を解説しましたが、未経験での転職は「不可能」という訳ではありません。以下の3つのポイントはWebデザイン業界未経験者への追い風でチャンスが増えている要素といえるでしょう。
Webデザイナーとして転職を成功させるためには、以下のようなスキルや知識を習得することが重要です。
これらすべてを最初から完璧に習得する必要はありませんが、基本的なデザインスキルとポートフォリオの作成に必要な技術は最低限身につけておく必要があります。特に「テクニカルスキル」の部分は独学では簡単に身に着けることができないものも多く、ITエンジニアとして実務を経験しておくことで、Webデザイナーへの転職難易度はハードルが低くなるといえるでしょう。
下記の記事では、IT業界の未経験転職の難易度について詳しく解説しているのでWebデザイナーへの転職をより確実にしたいと考えている人はぜひ、参考にしてみて下さい。
未経験からWebデザイナーを目指す場合、以下のようなステップで学習を進めるとよいでしょう。
まずはデザインの基本原則(バランス、コントラスト、統一性など)や色彩理論、タイポグラフィの基礎を学びましょう。オンライン講座や書籍を活用し、「なぜそのデザインが良いのか」を理解することが重要です。
Figma、Adobe XD、Photoshopなどの基本的な操作方法を習得しましょう。これらのツールは無料版や体験版もあるので、実際に手を動かしながら学ぶことができます。チュートリアル動画を見ながら実際に手を動かしつつ練習するのが効果的です。
デザインだけでなく、基本的なコーディング知識も身につけましょう。progateなどのプログラミング学習サイトなどを活用し、簡単なウェブページが作れるレベルを目指します。JavaScriptの基礎まで学べるとなお良いでしょう。
優れたWebサイトのデザインを模写することで、実践的なスキルを身につけます。模写を通じて「なぜこのデザインが効果的なのか」を考えることで、デザイン思考も養われます。
学んだスキルを活かして、オリジナルのWebサイトデザインやバナー、ランディングページなどを作成します。架空のプロジェクトでも構いませんので、実際のクライアントワークを想定して制作しましょう。
制作した作品をまとめ、ポートフォリオサイトを作成します。各作品についてデザインの意図や制作プロセスも説明できるようにしておくと、面接時にアピールポイントになります。
クラウドソーシングサイトで小規模な案件を受注したり、NPOや地域団体のWebサイト制作をボランティアで手伝ったりして、実践経験を積みましょう。
また、実際にWeb関連の仕事に転職し実務的な経験を積むのも、未経験からWebデザイナーを目指すためのおすすめの方法のひとつといえます。下記の記事ではWeb開発業界への未経験転職の難易度について詳しく解説しているのでぜひ、参考にしてみて下さい。
Webデザイン業界に限らず未経験の業界に転職する場合、「転職エージェント」を上手く活用することで数段、難易度が下がる場合もあります。
多くの転職エージェントは無料で利用することができ、自分に合った求人の紹介から履歴書の添削・面接対策・推薦による後押しなど様々なサービスを受けることができます。求人が多すぎて何をどういう基準で選べばいいかわからない、何回挑戦しても書類選考さえ通過しない、面接が苦手…そんな方はぜひエージェントを利用してみましょう。
転職エージェントは無料でサービスを受けられますし、あなたがWebデザイン業界以外にも興味があるのなら同時に別業界の求人を紹介して貰える場合もあります。また、あなたの経験や価値観に基づいた適職の提案や転職成功までのアドバイスで転職成功率を格段に上げることができます。
Webデザイン業界に未経験で転職を希望する際には、転職エージェントを最大限活用してみましょう。未経験からの転職が不安な方は未経験業界や未経験職種への転職支援を得意とするBOLELOエージェントへの相談がおすすめです。
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未経験からWebデザイナーを目指す場合、ポートフォリオは最も重要なアピール材料となります。効果的なポートフォリオを作るためのポイントを紹介します。
1. 質を重視する
数よりも質を重視しましょう。5〜10点程度の作品に絞り、最も自信のある作品を中心に構成します。
2. 多様性を示す
可能であれば、Webサイト、バナー、アプリのUIなど、様々な種類のデザインを含めましょう。異なるスタイルやテイストの作品も含めると、幅広い対応力をアピールできます。
3. デザインプロセスを見せる
完成作品だけでなく、ワイヤーフレームやラフスケッチ、デザイン検討過程なども含めると、あなたの思考プロセスや問題解決能力をアピールできます。
4. ストーリーを伝える
各作品について、「どのような課題に対して、どのようなアプローチでデザインを行ったか」というストーリーを簡潔に説明しましょう。
5. 自分自身のWebサイトをデザインする
ポートフォリオサイト自体も、あなたのデザインスキルを示す重要な作品です。使いやすく、あなたらしさが伝わるデザインを心がけましょう。
なお、ポートフォリオは定期的に更新し、常に最新かつ最高のスキルを示せるようにしておくことが大切です。
Webデザイン業界では、資格よりも実務スキルやポートフォリオが重視される傾向がありますが、知識の体系化や学習のモチベーション維持のために資格取得を目指すのも一つの方法です。主な資格と実務における価値について解説します。
これらの資格があっても実務で通用するスキルがなければ採用には繋がりません。資格取得よりも、実際の制作経験やポートフォリオの充実に力を入れることをおすすめします。資格は「プラスアルファ」と考えるのが適切でしょう。
実際に未経験からWebデザイナーへの転職に成功した方々の事例を紹介します。
大手企業の一般事務職として7年勤務後、Webデザイナーへの転職を決意。1年間、仕事の合間にオンラインスクールでデザインを学び、週末はポートフォリオ制作にあてました。最初は副業でクラウドソーシングサイトの小規模案件を受注し、実績を積んだ後、中小のWeb制作会社に転職。現在はフリーランスのWebデザイナーとして活躍しています。
成功のポイント: 本業をしながら地道にスキルを磨き、小さな実績から積み上げていったこと
IT機器販売の営業職から、同じ会社のWebマーケティング部門に異動し、そこからWebデザインのスキルを独学で習得。社内のランディングページ制作などを担当する中でポートフォリオを充実させ、最終的にはWeb制作会社のデザイナーポジションに転職しました。
成功のポイント: 社内異動という段階的なキャリアチェンジを活用したこと
子育てが一段落した後、独学でWebデザインを学習。地域のNPO団体のウェブサイトを無償で制作するなど、実績を積み上げました。その後、ママデザイナー向けの未経験OK求人に応募し、週3日勤務のWebデザイナーとして採用されました。
成功のポイント: ボランティア活動で実績を作り、働き方にマッチした求人を見つけたこと
これらの事例から分かるように、未経験からの転職は一朝一夕には実現しません。しかし計画的なスキルアップと地道な実績作りで十分に可能です。特に、段階的なアプローチで経験を積んでいくことが成功への近道と言えるでしょう。
未経験からWebデザイン業界への転職は、決して簡単ではありませんが、適切な学習計画と努力によって十分に実現可能です。そのためにはデザインの基礎知識とツールの操作スキルを身につけ、魅力的なポートフォリオを作成することが最も重要です。
また、いきなり理想の職場に転職するのではなく、副業やボランティア、小規模な案件などから徐々に経験を積んでいく段階的なアプローチも効果的です。
Webデザイン業界は今後も成長が見込まれる分野であり、デジタル化の進展とともに需要も高まっていくでしょう。「好きなことを仕事にする」という夢を実現するために、今日から一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。。