未経験の業界へ転職

未経験でITコンサル業界へ転職する際の難易度は?

最終更新日:2025年5月30日

目次

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  • そもそもITコンサルタントとは?
    • ITコンサルタントの具体的な仕事内容
    • ITコンサルタント業界の現状と課題
  • 未経験でITコンサル業界への転職は難しい?
    • 未経験でITコンサル業界への転職が難しいと言われる理由
    • 未経験者でもITコンサルタントへの転職は不可能ではない
  • ITコンサルタントに求められるスキルと適性
    • 技術的スキル
    • ビジネススキル
    • ソフトスキル
    • 適性
  • 未経験からITコンサルタントを目指すためのステップ
    • ステップ1:基礎知識の習得
    • ステップ2:資格取得の検討
    • ステップ3:実践的なスキル習得
    • ステップ4:ネットワーキングと業界理解
    • ステップ5:転職エージェントを活用して転職する
  • ITコンサルへの転職に有利な経歴や前職
  • 未経験からITコンサルタントに転職成功した事例
    • 事例1: 営業職からITコンサルタントへ(30代前半男性)
    • 事例2: 経営企画からITコンサルタントへ(20代後半女性)
    • 事例3: エンジニアからITコンサルタントへ(30代前半男性)
    • 事例4: 金融業界からITコンサルタントへ(30代後半女性)
  • 未経験からITコンサル業界の転職は難しいが自分の領域を見つけるのが大事

デジタルトランスフォーメーション(DX)の普及やIT人材の不足により、ITコンサルタントの需要は年々高まっています。企業が競争力を維持するためにテクノロジーを活用する方法を模索する中、ITコンサルタントは技術と経営の橋渡し役として重要な存在となっています。そんな重要な役割を担うITコンサルタント業界に「未経験からでも転職できるのだろうか?」と考える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、未経験者がITコンサルタントを目指す際の現実的な難易度や必要なスキル、転職成功のためのアプローチについて解説します。

そもそもITコンサルタントとは?

ITコンサルタント業界への未経験転職を紹介する前に、ITコンサルタント業界がどんなもので、業界全体の現状はどうなっているのかを確認していきましょう。

ITコンサルタントの具体的な仕事内容

ITコンサルタントの主な仕事は、取引先の企業が抱えるIT関連の課題に対して提案や支援を行うことです。これらは事業を円滑に進めるうえで重要なサポートをするプロフェッショナルな職業です。具体的な仕事内容は多岐にわたりますが、主なものを以下に示します。

クライアント企業の課題分析・クライアント企業の現状などを詳細に調査し課題を特定
ヒアリング、インタビュー、データ分析などの手法を用いて、課題の本質を分析
IT戦略の策定・クライアント企業の経営戦略やビジネス目標を踏まえ、ITを活用した戦略を策定
・最新のIT技術動向や市場トレンドを考慮し、最適なIT戦略を提案
システム導入支援・クライアント企業のニーズに合ったITシステムを選定
導入するサポート
要件定義、設計、開発、テスト、移行などの各フェーズを管理・推進
業務プロセス改善・ITシステム導入と並行して、業務プロセスの見直し
改善
・クライアント企業の業務効率化、コスト削減、生産性向上への貢献

ITコンサルタントは、クライアント企業の課題解決に向けて、上記のような幅広い業務を担います。業務の中では高いコミュニケーション能力、問題解決能力、論理的思考力などが求められます。

ITコンサルタント業界の現状と課題

ITコンサルティング業界は、デジタル化の加速に伴い大きく成長しています。IDC Japanの市場調査によれば、国内ITコンサルティング市場は2025年まで年平均7.2%で成長すると予測されています。特にクラウド移行、データ分析、AIの導入、セキュリティ強化などの分野での需要が高まっています。

大手コンサルティングファームから専門特化型の中小企業まで、様々な企業がITコンサルティングサービスを提供しており、市場は拡大の一途をたどっています。特にDX推進の文脈では、単なる技術導入だけでなく、業務プロセスの変革やビジネスモデルの再構築まで含めた総合的なコンサルティングが求められるようになっています。

人材市場においても、IT知識とビジネス知識の両方を持つ人材の需要は高く、優秀な人材の確保は各社の重要課題となっています。このような背景から、未経験者にもチャンスが生まれつつあるITコンサルティング業界ですが、同時に求められるスキルレベルも上昇しているのが現状です。

参考:MONOist「中小企業でもIT投資拡大、国内市場は2028年に27.9兆円規模へ IDC調査

未経験でITコンサル業界への転職は難しい?

結論からお伝えすると、未経験からITコンサル業界への転職は難しいと言えるでしょう。しかし、不可能というわけではありません。ここでは未経験からITコンサル業界への転職が難しいと言われる理由や、未経験者にどの点でチャンスがあるのかについて解説していきます。

未経験でITコンサル業界への転職が難しいと言われる理由

ITコンサル業界は、まったくの未経験の状態から転職したい場合、他の業界と比べてもハードルは高い分類になります。なぜならITコンサル業界では、専門知識・実務経験・ビジネス視点・コミュニケーション能力といったあらゆるスキルや経験が必要とされ、求められている能力が高いからです。

また、ITコンサル業界は新卒からの人気も高く、日本アイ・ビー・エムやアクセンチュア、野村総合研究所といったコンサル企業は、新卒に人気な企業ランキングでも上位にランクインするほど注目度は高いです。新卒の新入社員が多く入るということは、企業が受け入れられる未経験枠は新卒が埋めてしまい、中途採用で狙う人材は即戦力となる経験者になってしまいます。即戦力を求める企業からは、これまで獲得したスキルや経験などで評価されないといけないため、未経験からの転職の難易度は格段に高くなると言えるでしょう。

未経験者でもITコンサルタントへの転職は不可能ではない

これまで転職が難しいと言われる理由を解説しましたが、未経験からのITコンサル業界への転職は「難しい」だけであって不可能ではありません。大手のコンサルティングファームは注目度も高く、未経験では転職の難易度が高い一方、ベンチャーファームであれば未経験であっても十分に転職は可能であると言えるでしょう。

ベンチャーファームでは、これまで積み上げてきたビジネス経験であったり、どれぐらいITコンサルとして成長したいのかなどの志望度・想いを重視されることがあり、業界未経験であってもITコンサルタントになる機会が掴める場合があります。

ITコンサル業界への未経験転職は確かにハードルが高いものの、適切な準備と戦略的なアプローチで実現可能です。特定の業界知識や分析スキルなど、自分の強みを活かせる分野を見つけることが重要です。

ITコンサルタントに求められるスキルと適性

ITコンサルタントに求められる主なスキルと適性は以下の通りです。これらすべてを最初から持っている必要はありませんが、伸ばしていく意欲と潜在能力は重要です。

技術的スキル

  • IT基礎知識: クラウド、ネットワーク、セキュリティ、データベースなどの基本的な理解
  • 最新技術動向: AI、ブロックチェーン、IoTなど最新技術のトレンドの把握
  • システム開発プロセス: 要件定義から導入、運用までのライフサイクルの理解
  • データ分析: データを収集・分析し、ビジネス上の洞察を得る能力

ビジネススキル

  • 業界知識: 特定業界(金融、製造、小売など)のビジネスモデルや課題の理解
  • 経営戦略: 企業の経営課題を理解し、ITを活用した解決策を提案する能力
  • プロジェクト管理: スケジュール、コスト、品質を管理する能力
  • 財務知識: 投資対効果(ROI)を計算・説明できる基本的な財務知識

ソフトスキル

  • コミュニケーション能力: 複雑な技術的概念を非技術者にも分かりやすく説明する能力
  • 問題解決能力: 複雑な課題を構造化し、解決策を見出す論理的思考力
  • ヒアリング能力: クライアントの真のニーズを引き出すための質問力と傾聴力
  • プレゼンテーション能力: 提案内容を説得力を持って伝える能力

適性

  • 好奇心と学習意欲: 常に新しい技術や業界動向を学び続ける姿勢
  • 柔軟性: 多様なクライアントやプロジェクトに適応できる柔軟性
  • 忍耐力: 長時間労働や期限のプレッシャーに対応できる精神力
  • リーダーシップ: チームをまとめ、プロジェクトを前進させる能力

これらのスキルや適性は一朝一夕に身につくものではありませんが、意識的に育成することは可能です。特に未経験者は、まずは自分が得意とする領域(技術、ビジネス、コミュニケーションなど)を足がかりにしつつ、徐々に他の領域も強化していくアプローチが効果的です。

しかし、意識的にスキルを身に着けるのは難しそうと感じる人には、IT業界で働いてみることをおすすめします。IT業界で実際に働くことで、ITコンサル業界で必要な技術的スキルやビジネススキルを身に着けることができ、実際に働いた経験は転職の際に有利に働いてくれます。下記の記事では未経験からIT業界に転職する難易度について詳しく解説しているのでぜひ、参考にしてみて下さい。

関連記事:未経験でIT業界へ転職する際の難易度とは?

未経験からITコンサルタントを目指すためのステップ

未経験からITコンサルタントを目指す場合、以下のようなステップで進めるとよいでしょう。

ステップ1:基礎知識の習得

まずはIT分野の基礎知識を身につけましょう。オンライン講座や入門書などを活用し、以下のような分野の基本を理解します。

  • クラウドコンピューティング(AWS、Azure、GCPなど)
  • データベースとデータ分析の基礎
  • ネットワークとセキュリティの基本概念
  • システム開発の基本的な流れ

また、ビジネス知識も重要です。経営戦略、マーケティング、財務会計などのビジネス基礎も並行して学びましょう。

ステップ2:資格取得の検討

知識の体系化と客観的な証明のために、関連資格の取得も検討しましょう。有用な資格には以下のようなものがあります。

  • ITパスポート・基本情報技術者(IT基礎知識)
  • PMP(プロジェクト管理)
  • クラウド関連資格(AWS認定ソリューションアーキテクトなど)
  • ITサービスマネジメント関連資格(ITILなど)

ただし、資格はあくまで手段であり、実践的なスキルを磨くことも忘れないようにしましょう。

ステップ3:実践的なスキル習得

座学だけでなく、実践的なスキルも身につけることが重要です。

  • ケーススタディや業界分析の練習
  • プロジェクト管理ツールの使用経験
  • データ分析ツールの活用(Excel高度な機能、Tableau、Power BIなど)
  • プレゼンテーション資料作成とプレゼン練習

可能であれば、社内プロジェクトや業務改善活動などを通じて、コンサルティングに近い経験を積むことも有効です。

ステップ4:ネットワーキングと業界理解

ITコンサル業界に入るには業界の実情を理解し、人脈を広げることも重要です。

  • ITコンサルタントのセミナーやイベントへの参加
  • 業界関係者とのネットワーキング
  • コンサルティング会社の説明会や選考情報の収集
  • 元ITコンサルタントのブログやSNSのフォロー

このようなステップを踏みながら、自分の強みを活かせる領域(特定の業界知識やテクノロジー)を見つけることが、転職成功の鍵となります。

ステップ5:転職エージェントを活用して転職する

ITコンサル業界に限らず未経験の業界に転職する場合、「転職エージェント」を上手く活用することで数段、難易度が下がる場合もあります。

多くの転職エージェントは無料で利用することができ、自分に合った求人の紹介から履歴書の添削・面接対策・推薦による後押しなど様々なサービスを受けることができます。求人が多すぎて何をどういう基準で選べばいいかわからない、何回挑戦しても書類選考さえ通過しない、面接が苦手…そんな方はぜひエージェントを利用してみましょう。

転職エージェントは無料でサービスを受けられますし、ITコンサル業界以外にも興味があるのなら同時に別業界の求人を紹介して貰える場合もあります。また、あなたの経験や価値観に基づいた適職の提案や転職成功までのアドバイスで転職成功率を格段に上げることができます。

ITコンサル業界に未経験で転職を希望する際には、転職エージェントを最大限活用してみましょう。未経験からの転職が不安な方は未経験業界や未経験職種への転職支援を得意とするBOLELOエージェントへの相談がおすすめです。

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ITコンサルへの転職に有利な経歴や前職

未経験といっても、前職や経歴によってITコンサルへの転職のしやすさは大きく異なります。特に以下のような経歴や職種経験者は、ITコンサルティングへの転職に比較的有利と言えます。

  • IT業界経験者
  • 営業職経験者
  • 経営企画・事業企画経験者
  • プロジェクトマネージャー経験者
  • 業務改革・業務改善経験者
  • 特定業界の専門家

1. IT業界経験者

システムエンジニアやプログラマーなどのIT職種経験者は、技術的な知識があるため、ITコンサルタントへのキャリアチェンジが比較的スムーズです。特にクライアントと直接やり取りする機会が多かった方は、コミュニケーション能力も評価されやすいでしょう。

2. 営業職経験者

法人営業、特にソリューション営業の経験者は、顧客の課題を引き出し解決策を提案するスキルがあるため、ITコンサルタントの適性があると見なされやすいです。IT関連の営業であれば、技術知識との組み合わせでさらに評価されます。

3. 経営企画・事業企画経験者

自社の経営戦略や事業計画に関わった経験がある方は、経営視点からの分析力が評価されます。特に、IT戦略の策定やシステム導入プロジェクトに関わった経験があれば強みになります。

4. プロジェクトマネージャー経験者

大規模プロジェクトのマネジメント経験者は、ITコンサルタントとして求められるプロジェクト管理能力の証明になります。予算管理、スケジュール管理、ステークホルダー調整などの経験が活かせます。

5. 業務改革・業務改善経験者

社内の業務プロセス改革や改善活動の経験者は、業務分析能力やプロセス設計能力が評価されます。特にITを活用した業務改革に携わった経験があれば、非常に有利です。

6. 特定業界の専門家

金融、製造、医療、小売など特定の業界で長年の経験を持つ方は、その業界に特化したITコンサルタントとは相性が良く、業界知識を強みにアピールできます。業界特有の課題や規制への理解が評価されます。

なお、前職の経験を最大限に活かすためには、自分の強みをITコンサルティングの文脈でどう活かせるかを明確に整理し、アピールすることが大切です。また、不足しているITスキルを補完するための学習も並行して行うことで、転職の可能性が高まります。

未経験からITコンサルタントに転職成功した事例

実際に未経験からITコンサルタントへの転職に成功した方々の事例を紹介します。これらの事例から、成功のためのヒントを見つけることができるでしょう。

事例1: 営業職からITコンサルタントへ(30代前半男性)

大手電機メーカーで法人営業として5年間勤務した後、大手ITコンサルティングファームに転職。メーカー時代に顧客の課題解決を提案する営業スタイルを身につけていたことや、プレゼンテーション能力の高さが評価されました。転職前の準備として、ITパスポートや基本情報技術者の資格を取得し、クラウドサービスについての基礎知識を身につけました。入社後は製造業向けのDXコンサルタントとして活躍しています。

事例2: 経営企画からITコンサルタントへ(20代後半女性)

中堅企業の経営企画部で3年間勤務後、特化型のITコンサルティングファームへ転職。経営企画での業務改善プロジェクトやデータ分析の経験が評価されました。転職前に、データ分析スキルを強化するためにTableauやPower BIの使い方を独学で習得し、実際に社内のデータ可視化プロジェクトを手がけた実績をアピールしました。現在はデータアナリティクスコンサルタントとして活躍しています。

事例3: エンジニアからITコンサルタントへ(30代前半男性)

Web系エンジニアとして4年間勤務後、ITコンサルティングファームに転職。技術的な知識を持ちつつも、顧客視点でのソリューション提案に興味があることをアピールしました。エンジニア時代に社内勉強会を主催し、技術的な知識を分かりやすく説明する能力を磨いていたことが評価されました。現在は、テクノロジーコンサルタントとして、クライアントのDX支援に携わっています。

事例4: 金融業界からITコンサルタントへ(30代後半女性)

大手銀行で10年間勤務後、金融特化型のITコンサルティングファームに転職。銀行業務の知識と、社内のシステム刷新プロジェクトに参画した経験が評価されました。金融業界特有の規制やビジネスモデルについての深い理解を武器に、金融機関向けのITコンサルタントとして活躍しています。

これらの事例から、成功のポイントとして以下のことが挙げられます:

  • 前職でのスキルや経験を最大限に活かせる領域にフォーカスしたこと
  • 不足しているITスキルや知識を自発的に補完したこと
  • 具体的な実績(プロジェクト経験など)を作り、アピールしたこと
  • 業界知識や専門性を持っていること

未経験からの転職は大変ですが、自分の強みを正確に把握し、足りないスキルを補いながら戦略的にアプローチすることで、可能性は広がります。

未経験からITコンサル業界の転職は難しいが自分の領域を見つけるのが大事

未経験からITコンサルタントへの転職は決して簡単ではありませんが、自分の強みを活かし、必要なスキルを計画的に習得することで実現可能です。特に、前職での経験や専門知識を活かせる領域を見つけ、そこからスタートすることが成功への近道となります。

ITとビジネスの両方の知識を持ち、クライアントの経営課題を解決に導くITコンサルタントは、今後もますます需要が高まる職種です。長期的な視点でキャリアを構築し、継続的な学習と挑戦を続けることで、充実したコンサルタントとしてのキャリアを築くことができるでしょう。